前回までのブログで書きました
『針が盤を傷つけるのか、盤が針を傷つけるのか!?』シリーズ
・埃編
・静電気編
今回は針圧調整についてです!
一般的なターンテーブル Technics SL-1200シリーズを基本に進めていこうと思います!
まず、皆さんはご自身の使っているレコード針の推奨針圧gをご存知でしょうか?
え!?っと思った方は、すぐにメーカーHPで確認しましょう!
ざっくりですが、一般的なリスニング用のMC式は2g、DJなどで多く使用されているMM式は3g針圧の物が多い気がします。
中には、5g超えのもので別途ウェイトを付けなければならない物もあります。
では、なぜこんなにも針圧gは各モデルによってバラバラに設定されているのでしょう!?
レコード針の種類には様々な物があり、各メーカー総力を上げて研究しています。
現在流通しているほとんどの針はダイアモンド針です。ご存じのようにダイアモンドは地球上で一番硬い物質ですが、
それでも数百時間で(針先形状により多少変わります)摩耗してしまいます。
廉価な針では基材の先端に小さな工業用ダイアモンドを張り付けて研磨しますが、
高級品の針ではムクのダイアモンドを研磨して製作するものもあります。
そしてサファイヤ針、加工し易いため低価格の針に使用されますが、
ダイアモンド針に比べて摩耗が早く寿命が短いため現在はほとんど姿を消しました。
針先の形状も様々です、、、
-
丸針 - ごく一般的な通常のレコード針です。DJ用はほぼこのタイプです。針先の加工が容易なため、概ね低価格な針と言えます。
- 楕円針 - 針先が楕円形状に加工されており、レコードの音溝に対してトレース能力が優れています。 高音域ののびも抜群に良いです。ハイエンドDJ針のモデルや、MC式カードリッジに多く採用されています。弊社Wax Alchemyでも使っているSUMIKO社 Blue Point Special EVO.3もこのタイプで再生範囲は12Hz〜50kHzと丸形では到底不可能な再生能力を持ちます。
- 超楕円針 - 楕円針の先端形状を更に発展させ、ラインコンタクト(線接触)形状に加工されています。 レコードの音溝に対して針の接触面積を大きくし、なおかつ盤面との摩擦を少なくするように設計されています。そのため高音質が得られ、音溝の摩耗も少なくなるという特徴を持っています。
- 4ch針 - 1本の溝に4チャンネル分の信号が刻まれている4chレコードに対応した針です。通常のレコードも聴くことができすが、4chレコードを再生すると素晴らしい臨場感が得られます。しかし現在では再生システムもレコード盤もほとんど手に入らないため、お持ちの方は大切になさってください。
などなど他にも細分化され、メーカー独自の物などもたくさん有ります。
お分かりの通り、これだけ様々な物が有れば、各針によって推奨の針圧が違ってくるのも当たり前の話です。
前回のblogレコード針編でも書きましたが、
2gの針圧をかけると1㎝2に換算すると数トンという圧力がかかっており、摩擦熱も数百度に達します。
各針の推奨針圧内でターンテーブルがしっかりとチューニングされていて室温と埃さえ付着していなければ、
針もレコードも傷つく事はほとんど有りません。
さて、ここで針圧調整についてですが、
おそらく90%の人がトーンアームに付いている、ウェイトの目盛りを基準に針圧を調整していると思います。。。
しかし、、、しかしです。
なぜこのような針圧計が販売されているのでしょうか!?
トーンアームウェイトはあくまで、目盛り、推測の様な物です。
実際に盤にどれくらいの針圧が掛かっているかは、計ってみるまで分かりません。
左の写真はWax Alchemyでも使っている針圧計ORTOFON社 DS-3です。
実際に目盛りで合わせた物と、計った物では、全く持って、グラムが違います。
目盛りと針圧計では0.5gほどずれている事があります。。。
気にしない人は、こんなことは全く気にしないと思いますが、、、
レコードと針からしたら、推奨針圧から0.5gも外れていたら、悲劇です。
事実私も、アナログ入門時の時は、針圧は針が飛ばなければ大丈夫!
この程度の認識しか有りませんでしたが、、、知れば知るほどに重要です。
どの世界でも共通して言える事の一つが『チューニング』
PA, Recording, Mastering, Cutting,,, 音楽の世界ではこのチューニングが、
プロとアマチュアの差をキッカリと分けます。
プロのDJ現場を見ていても、交代の時の針を変えてから、針圧調整、ヘッドフォンのレベリングまでの流れに一切の隙がありません。
選盤、ファッション、スキル以外のこういところもDJの見応えだと思います。やはり売れてるDJはここが圧倒的に違います!
どの業界でもそうだと思いますが、一流はこのチューニングを妥協しません。
なぜなら、チューニングが有って、初めて自分の仕事がこなせる訳ですから!!!
っと言う訳で、みなさん、末永くレコードを聴く為に、
今一度レコード針の調整をしてみてはいかがでしょうか???
これまで、長々と埃やチューニングやノイズやらについて書きましたが、、、
もしアナログレコードにノイズが無かったら!?
この逆転の発想で、レコードには切っても切れない甘くも切ない『NOISE』について、
迫っていこうと思います!!!それではまた!!!
Who Said Vinyl id Dead!?
-音盤錬金術師 諏訪内 保
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